TOP>第1幕 動乱萌芽>第1幕 リュウト編 終楽章

深紅のベストの青年「ようやく最後のセキュリティを突破出来ましたね。」

リュウト「スレッドさん、やはりあなたに頼んで良かった。」

スレッドと呼ばれた青年「いえいえ、これはリュウトくんの頑張りもあったからこそですよ。」


2人は手を取り合って喜ぶ。
リュウトが欲していた情報を得る為のルートは開かれた。
迫る脅威に対し、初めて優位に立つことに成功したといえよう。


リュウト編 終楽章 終わりの始まり

<2週間前>
既に敵が"シャドー残党"であるということが判明した以上、
もはやあの男が何者であるかということを調べる必要はなくなり、さらなるレベルの調査が要求されることに。

それゆえにリュウトは別のルートから調査をするためにパイラタウンを訪れた。
ここにあるONBSというテレビ局の代表であるスレッドと言う青年の持つ頭脳。
先の第2次シャドー災害においても大きな役割を果たした彼の力を、再び借りる為に。

通常はなかなか面会することは出来ない彼だが、リュウトが面会を希望しているということ、
そしてその理由がシャドー残党について話をしたいということで、ONBSのビルの屋上にある技術顧問室にすんなりと通された。

部屋の自動ドアが開き、椅子に座る青年が視界に入ってくる。
互いの姿を確認し、双方とも頭を下げる。


リュウト「お久しぶりです、スレッドさん。」

スレッド「いえ、こちらこそ。
     ・・・・・・今回もシャドーによる事件のことですね?」


向こうの方も何故ここに来たのかを分かっていた。
いや、それ以外の理由など考えられないと言った方が正しいか。
なれば単刀直入に用件を伝えるのみだ。


リュウト「ええ、奴らから情報を引き出すために貴方の力をお借りしたいんです。」

スレッド「またしても力になれるとは光栄ですね。
     それで、具体的にはどういったことをするおつもりですか?」

リュウト「かつてのようにダークポケモンの密売を行っていれば、当然外界との接触があります。
     ネットワーク上に残されたその痕跡を辿って奴らが使用するコンピュータを突き止め、
     そこから情報を引き出せるだけ引き出そうと考えています。」

スレッド「成程、その為にはいくつもの高度なセキリュティが施されている犯罪組織などのサーバを経由しなければならない。
     そこで僕の助けが必要ということですか。」

リュウト「相手が相手だけに貴方以外に頼める人はいません。
     どうかお願いします。」

スレッド「力に屈することなく真実を追い求めるのが僕たちONBS。
     そしてそのために頼りにされることは本望、喜んで引き受けましょう。
     それがONBSの代表者である僕の務めでもあります。」



























そして現在。
ようやく求めていた情報に手が届いた。
相手側からの妨害に気を付けながら、早速解析を始める。

"取引"の記録をから辿ってきただけに、当然ながらそういった情報が殆どを占める。
ダークポケモンの売買に関するものが殆どと思われたが意外とそうではないようだ。


リュウト「カントーにホウエン、他にも色んな所から研究成果を買収しているのか‥‥‥。」


ここで取引されている研究成果は個人が大金に釣られて流したものだろう。
名のある企業や機関からのものと思われる情報もある。

今まで完全に独自の研究をしていたシャドーとは異なっている。
こうなるとシャドー残党を基盤としながらも、新たに創られた組織である可能性もある。
まだまだ推測にすぎないが頭に入れておくに越したことはない。

それからも過去のものから順に取引の記録を閲覧していく。
そんな中、およそ半年前の履歴に警察宛てと思われるものがあった。
他のメール送信先と比べると明らかに異質。
このメールを確かめない道理はない。


リュウト「しかしこんなメールがあったということは、警察側は奴らの存在を知っていたのでは。」

スレッド「いえ、今までのものと同じでしょう。
     関係者を買収した‥‥‥しかし失敗は考えていなかったのでしょうか、失敗すればとてつもないリスクを負うはずでしょうに。」


このメールがやり取りされた時点では当然ながらその活動は知られていなかった。
もし失敗すればその存在を簡単に知らせることになり、下手をすればその段階で一網打尽にされることだって考えられる。
それでも敢行したということは、それに見合ったリターンがあるということ。

そしてメールの内容を見てそのことには納得した。
過去の第1次シャドー災害に於いてシャドーNo.2の地位にいた男、ジャキラ。
大金と引き換えに彼の身柄の引き渡しを要求するものだった。


リュウト「ジャキラ‥‥‥ですか。
     過去を考えると、再び重要な地位に置きたかったということでしょうか。」

スレッド「ええ、そうでなければこれだけの金を動かす必要もありませんからね。」


彼は高い地位にいただけに重い判決を受けた。
だがその非常に長い刑期を消すだけの金がシャドーにはあったということか。

この頃を境にして、研究成果の買い取りとダークポケモンの販売が半々と言った割合になっていた。
前者の件数が減少傾向になっていたこともあるのだが、それ以上に後者の件数が大きく伸びていたのだ。

ある程度まともに取引が出来るようになったのか、それとも資金を稼ぐ必要が出てきたのか。
これに関しては元からダークポケモンの密輸だけで成り立っていたこともあり取引自体に問題は無いようにも思えるが、
研究成果の買い取りを継続していることもあり、まだまだ"商品"として未完成である可能性もあるがゆえに分からない。
よってこの件を考えるのは保留。

更に履歴を見て行くと、約3週間前に多方面に対してメールが同時送信されていた。
内容はホワイトシティでのポケモンリーグにてシャドーによる研究成果の一部を公開する旨を伝えるものだった。


リュウト「あの大会は宣伝のために利用されたというのか?」


案の定、その以降はまたダークポケモンの販売数は増加。
1件当たりの取引数や1匹当たりの相場も同時に伸びている。

その中でも一際大きな取引に関するメールが1件。
差出人などと照らし合わせ、複数回のやり取りの後に受け渡しの場所や方法を確認する取引成立を示すメールの存在を確認。
それによるとダークポケモンの受け渡しはまだ行われていない。
つまり、最新の情報という訳だ。


スレッド「これだけの取引数‥‥‥どこがこれだけ大規模な取引を必要としているのでしょうか。
     ダークポケモンの取引は裏世界の巨大化に繋がる要素だけに気になります。」

リュウト「何者か確かめたいですね‥‥‥こちらなりに手を打ってみます。」


こうして次々に情報が手に入って来た。
ネットワークに一切の繋がりの無い情報に関しては調べようがなく、更なる詮索には成果を期待することは出来ない。
だがそれでも予想以上の収穫を得た。

これは長い長い闘争の始まりである。





第2幕アナザーストーリー リュウト編
影の鼓動
〜eXtra Dimension's strife〜




Partner's Date
リュウト
Pokemon
チャーレム(NN:モート)
ネンドール(NN:グラーベ)



<あとがき>
どうでもいいですがスレッドをたまにスレッジと入力しそうになった今回の話。
この話を書く段階でちょっとした思い違いがあり、結果としてまた短い話になってしまいました((
これなら前回のとひとまとめにした方が良かったかもしらんね。
でも全体的に短いのはこのリュウト編自体がそもそも繋ぎの章だからってのもあるんですけどね。

次は久々にバトルをする・・・・・・かも?