TOP>第1幕 動乱萌芽>リュウト編 第2楽章 影の攻勢

シャドーの旧施設2か所の調査をしてから2日が経った。
結局、分かったのは"設備が持ち去られていた"という事実のみ。

そして今、リュウトはオーレ地方へと戻ってくるミレイを出迎える為にアイオポートに来ていた。
彼女の持っている情報を直接受け取るために・・・・・・。


リュウト編 第2楽章 影の攻勢



昼前の連絡船にてミレイは戻って来た。


リュウト「あれから何かありませんでしたか?」

ミレイ「ううん、何も。」


船から降りてきたミレイに対してリュウトが第一声、問い掛けをした。
その理由は先の話を聞くに何らかの形での攻撃があってもおかしくは無かったから。

確かに今までもシャドー災害を解決したものとして狙われる可能性が無かった訳ではない。
しかしそれに関しては世間的に名のある者に手を出してまで得られるメリットは既に組織が無い以上は少なく、
仮にあったとしても、逆にその存在を知られてしまうと云ったデメリットの方が遥かに大きい。

だが今回に関しては状況が違う。
公の場でのその活動は存在を隠しているとは言えず、手を出すことのデメリットは無いに等しい。
そして現時点では情報が出回っておらず、確実に情報を知っているミレイだけにしか見えないことを考えれば、
その口を封じて情報が出回らないようにするメリットの方が大きい。


リュウト「まあ何事も無くて何よりです。
     それよりも‥‥‥ここから先は人気の無い所で話をしましょう。」


2人は人気が無く、かつ周囲の状況を確認しやすい埠頭へと移動する。
遠くにはかつてのシャドー本拠地であるニケルダーク島を臨む。


ミレイ「これが例の男の写真のコピーよ。」


渡された小さな紙には金髪の若い男の顔写真。
今までに見たことのある顔ではない。


ミレイ「彼はネイロという名で大会に登録していたけれど、それが本名なのか偽名かまでは分からない。」

リュウト「それでも顔写真があるのは大きいですよ。
     名前以上に照合しやすいですからね。」

ミレイ「それじゃあ、何かあればまた連絡するわ。」

リュウト「ええ、こちらでも色々探ってみることにします。
     この情報はまだ公にせずに、自己の判断で必要だと思う者にだけリークするようにして下さい。」


2人は別れ、それぞれの帰路についた。
リュウトは勿論ポケモン総合研究所へ、そしてミレイは折角近くに来ているということで祖父母の暮らすアゲトビレッジへ。






























リュウトは研究所に戻り、まずクレイン所長に報告を済ませると自分の部屋へ。
紅茶を片手にまずは調べやすい所からネイロという男の調査の準備をしていた。

もし以前にシャドーとの関わりを持っていたというのなら、オーレ地方の警察の記録に情報があるはず・・・・・・。
そう考えたリュウトは警察へと出向き、調べさせてもらえるよう交渉するつもりであった。

そんな時に彼のP☆DA(Pokemon Digital Assistant tool)は鳴った。
リュウトがP☆DAをチェックするとメールニュースが届いていた。


"アゲトビレッジにて襲撃事件"


すぐにその内容を見る・・・が事件の詳細は未だ不明とのこと。
事実かどうかを確かめる為に、そして事実だとしたらどんな状況なのかを知るために、
リュウトは急いでアゲトビレッジに戻っているはずのミレイにメールを送る。

しかしこの情報が真実であればメールなど見ている余裕などは無いだろう。
返信を待たずに自分もその場へ向かうべきかどうか迷う。

だが、意外にもすぐにメールは返信されてきた。


リュウト「(1人で対応できるとは流石ですね。
      それにしても向こうは何を考えているんだ‥‥‥?)」


ミレイから送られてきたメール。
そこには犯人がシャドー残党であるとの内容が記されていた。
更に、同時にバトル山でも同様にシャドー残党による襲撃も起きていたことを伝える内容も。

向こうはもはやその活動を隠すつもりはないらしい。
単純に考えれば今起きた2ヶ所の他にも襲撃があってもおかしくない。
そしてここポケモン総合研究所は特に襲撃する価値があるであろう場所。
そうなれば・・・・・・


リュウト「すぐにでもこの研究所に襲撃をかけてくるはず・・・・・・迎え撃つ用意を急がなければ。」


リュウトはチャーレムをボールから出し、外へと飛び出る。
チャーレムの第六感はこの場では何よりも頼りになる対人レーダー。
その能力があればいち早く敵の襲撃に気付くことが出来る。

外に出た後、この場を離れられないためにクレイン所長にもメールで今の状況を伝えた。
メールを受けたクレイン所長はすぐに厳戒態勢を敷く。
全職員を建物内に入れ、小さな窓をも含めた入り口という入り口を全て封鎖。
完全封鎖完了までのおよそ30分間、リュウトは外でただ1人警戒を続けることに。

警戒中にリュウトのP☆DAが再び鳴る。
すぐに確認するとまたもメールニュース。


"バトル山でも襲撃事件"


やはりミレイからのメールは真実であった。
アゲトビレッジでの襲撃事件との関連性は不明とのことになっているが、これに関してはミレイより情報が入っている。

完全封鎖が間も無く完了せんという頃、クレイン所長から連絡が入る。
リュウトも中に入り事に備えよ、中に入った時点で完全封鎖は完了するとのこと。
いくら実力があるとはいえ、1人で撤退も出来ない外にいるのは危険。
かといって補佐に付けられる人材もいないのが現状。

なれば建物自体の強固さで乗り切れる所まで乗り切り、
突破されたとしても同時に多人数との戦闘にはなりにくいため戦力になるものが少なくともまだなんとかなる。
それにある程度の時間さえ稼げれば警察部隊の到着を待つことが出来るのだ。

リュウトは周囲を警戒しながら建物内へ。
その間も襲撃は無く、無事完全封鎖が完了した。




























完全封鎖から30分が経とうかという頃、襲撃に備えてクレイン所長が呼んでいたアイオポートの警察部隊が到着。
元々他の場所で襲撃があり、それに備えていたこともあり予想していたよりも早い到着であった。
仮に襲撃を企てていたとしてもこうなれば迂闊に手を出すことは出来なくなる。

そのままの状態で日を跨ぎ、次の日の朝を迎えた。

結局、研究所に襲撃が行われることは無かった。
内部のハッキングなどの攻撃があったことも懸念されたが、その痕跡も見当たらなかった。

いや、もしかするとメールニュースが入った時点でも襲撃が無かった以上、元から襲撃の予定も無かったのだろう。
この場所はアイオポートからそう離れていないため、先程証明された様に警察部隊はすぐに来ることが出来る。
だからこの場所への襲撃を成功させるには、少しでも時間を稼ぐために奇襲をかけてくる可能性が高い。

だがミレイからの連絡とバトル山襲撃のメールニュースが入るまでのタイムラグはそれなりあった。
つまりメールニュースが入った時点で最初の襲撃があってから時間が経っている。
そして襲撃を行えばその情報がすぐに回ることは向こうも分かっているはずであり、メールニュースが入った時点で既に襲撃が行われていなければならない。

先の2ヶ所よりもこちらを狙う方が遥かにメリットが大きい筈なのに・・・・・・。
一体何を考えているのか・・・・・・これをどうしても読まねばならない。
だがそれを読むには今ある情報ではあまりに少ない・・・・・・。






Partner's Date
リュウト
ミレイ
Pokemon
チャーレム(NN:モート)
ネンドール(NN:グラーベ)



>>To be continued!!

<次回予告>
意図の読めない敵側の行動。
それを読むためにリュウトはある者達の手を借りることにする。
またも裏で活躍するミレイ、急ぐリュウト、果たして・・・・・・。
※なお、この次回予告には多少の嘘が含まれています

<あとがき>
例の如く繋ぎの話だから分量は少なめ、というか超短い。
と言いつつ次回も少ないかも・・・・・・やはり戦闘シーンが無いとこうなってしまうのだろうか((

そしてチャーレムの能力が便利すぎて他のを出す必要が無いから困る((